みなみの活字

活字です。好きなものを気まぐれに書いてたりすると思います

聴き比べ「だから僕は音楽を辞めた」

実はヨルシカにハマる前から唯一聴いたことある曲だった「だから僕は音楽を辞めた」。

弊推しの林鼓子さんが4年前にYouTubeに歌ってみた動画をあげていて、当時はヨルシカの存在を全く知らずに聴いていました。

なんならYOASOBIとヨルシカごっちゃになるなとか思いながら流行りに一切目を向けないボーイでした。

 

その後ヨルシカにハマった自分がはやまる(林鼓子さん)の歌ってみたをアホほどリピートしてるのはもうおわかりでしょう。

当然原曲も好きなので狂ったように聴いています。

結構な時間聴き比べみたいになったのでその感想というか、そんなアレです。

皆も聴こう、「だから僕は音楽を辞めた」を。

 

 

聴き比べた動画

林鼓子

・【林鼓子】ヨルシカ「だから僕は音楽を辞めた」歌ってみた

youtu.be

 

原曲版(歌唱:suis)

・ヨルシカ - だから僕は音楽を辞めた (Music Video)

youtu.be

 

 

 

 

「だから僕は音楽を辞めた」

楽曲「だから僕は音楽を辞めた」は、ヨルシカが2019年に発売したアルバム「だから僕は音楽を辞めた」の表題曲。

アルバムは音楽を辞めることになった青年”エイミー”がスウェーデンを旅しながら”エルマ”に向けて作った楽曲という設定。

表題曲はアルバム最後の一曲。エイミーの葛藤が歌われている。

 

 

比較になったポイント

比較になったポイントなんですが

・1Aの「困らないでよ」

・サビ終わり「あんたのせいだ」

・声が力強くなるタイミング(大体サビ)

大体この辺りを踏まえた上で曲全体のイメージを捉えています。

 

・1Aの「困らないでよ」

ここは直前の歌詞が「ねぇ、将来何してるだろうね 音楽はしてないといいね」なんですが、その後に数拍の間を挟んでから歌われる歌詞です。

エイミーからエルマへの言葉と考えるのがたぶん自然で、それに対して戻ってこない返答(それを数拍の間で表現している)への「困らないでよ」という感じです。

 

この「相手に対して発した言葉が戻ってこなかった」という歌詞を林さんは少し棘のあるような、suisさんは柔らかな感じで歌っているように聴こえ、そこから

林さんは「怒り」

suisさんは「諦め」

の感情で表現しているように受け取りました。

 

「怒り」に関しては、「音楽はしてないといいね」という問いに対して「返答」が欲しかったのかな?と考えると、求めていたものが無かったのだからそれは怒るよねって。

加えて、苦しみながら音楽をやってきて辞めようとしている人間が「将来は音楽してないといいね」なんて自虐そのものなので、返答のニュアンスには「共感」があってほしかったんじゃないかとも思いました。

 

対して「諦め」の方ですが、こっちも根は同じ自虐がベースになっていて、かつ「自分の音楽の結末はもう決まってしまっていて何人も変えられない」という所まで行きついている。だから答えが返ってこないこともしょうがないか、ぐらいに思っているのかなと。

むしろ自虐を拗らせた(?)ぐらいなので、相手を困らせたかったのかもしれないとまで思いました。ここのsuisさんの歌声はちょっと冗談めかしたようにも聴こえるので余計にそう感じます。困り眉でちょっと笑いながら声にしているのが目に浮かぶ。

 

 

・サビ終わり「あんたのせいだ」

この曲の主人公エイミーはまさに音楽を辞めようとしている時で

最後の歌詞が

 

僕だって信念があった
今じゃ塵みたいな想いだ
何度でも君を書いた
売れることこそがどうでもよかったんだ
本当だ 本当なんだ 昔はそうだった

 

と、音楽を始めた昔と辞めようとしている今でこんなに変わってしまったっていう所が個人的ポイントだと思っていて、その変化になってしまった要因に対しての「あんたのせいだ」に繋がってきます。

 

この歌詞に対して込められる感情は「怒り」一択ぐらいまで思います。

その上で林さんの歌を聴くと、その絞り出し方には今にも泣き出してしまいそうなくらいの辛さを感じ、それを「あんた」に吐き出していると受け取れます。

目の前に本当に誰かが立っていて、その人物に直接ぶつけているようなリアルな質感といいますか。

 

一方suisさんの歌なんですが、もちろん感情も込められていてそれが怒りに近いものであるのは受け取れます。ただ、要因に対して一直線に怒りを露わにしているのであればその割に棘が少ない=穏やかなようにも聴こえます。

これはYouTubeのコメントを読んで初めてインプットした考え方なんですが、「変わってしまったのは自分自身がそうしてしまった」事を自覚しながらも「あんたのせいだ」と言い放つ事で逃避になっていると考えると、自責と他責が混ざった怒りということで「あんた」に対しての怒りの矢印が分散してるのかなと思います。

 

(余談)

自分の時系列的にはインプットしてから聴こえ方が変わりました。普通に他責マシマシだと思ってた

 

 

・声が力強くなるタイミング(大体サビ)

この曲のABメロが自身の葛藤を歌っているのに対して、サビでは変化の要因への反発を吐き出しています。

先に書いた通りサビの感情が怒りだと思うと、ここが感情の一番の出しどころになるはずなので声も力強くなりますよね。(そもそもサビだし)

 

ここに関しては表現どうこうっていうより、単純な声質声量収録環境の違いとかになるので比較とは?のポイントですが…

 

林さんの歌はここの力強さが際立ってると思います。特に2番Bメロの「化け物みたいな劣等感」からの爆発的な強さは本当に激情で、聴いている側に訴えかけてくるようなこの曲の痛みをありありと感じさせられます。もう声量が凄い。

 

suisさんの方もやはり力強く、エイミーの苦悩であったりが込められた心揺さぶられる歌だと思います。

ただ、林さんの方が声が出ているというか、デカ感情のようなものを感じるんですよね。

 

 

二つの「だから僕は音楽を辞めた」

ここまでに書いた3つのポイントで感じたイメージからこう表現するんですが、

林さんの「だから僕は音楽を辞めた」は女性的

suisさんの「だから僕は音楽を辞めた」は男性的

だなっていうのが自分の中での感想です。

(ここでの女性的・男性的は一個人の感覚です。)

 

林さんの方をそう表現するのは吐き出された「怒り」の感情がそれっぽいかなと思ったんですが、

・求めていた答えが返ってこなくてぶつけた「困らないでよ」

・しっかりと相手を認識してぶつける「あんたのせいだ」

といった点から。

suisさんの方は、

・諦めと自虐、答えが返ってくることを期待していないような「困らないでよ」

・変化の要因(他責)に向けながらも、自責混じりのために棘の少ない「あんたのせいだ」

といった点からそういう印象を抱きました。

 

これを書きながら新しく思った事として、林さん歌唱の方はなんか痛みを感じるんですよね…すごい言葉がサクサク刺さってくるというか。

その強く発せられる感情で殴ってくる感じ?も女性的に思える気がします。人生経験上その感覚が本当に結びつくかはわかりませんが…

 

suisさんの男性的、っていうポイントはもう一つ「声」にあって、

──ご自身は、シンガーとしての長所、武器はどこにあると思っていますか?

suis あんまり女っぽくないところ。中性的って言うほどではないんですけど、女性的な響きがあんまりないところが好きですね。性別を感じないと言うか、色気がないと言うか(笑)。「言って。」っていう曲の歌詞は一人称が「私」なんですけど、自分で音源を聴いたときに「気持ち悪いな」と思ってしまったくらいで(笑)。「君」とか「僕」だとしっくりくるんですけど、私の声で「私」って歌うのはちょっとヤバいなって。

n-buna でも言ってしまえば、そういうところも長所なんですよ。「私」でも「僕」でも、極端に言えば「俺」でも、どのタイプの歌詞でも適応できる声質だと思うんです。

(https://natalie.mu/music/pp/yorushika)音楽ナタリーより引用

と自他ともに認める「男女どちらをとっても適応できる声質」を持っている方なので、そこも含めて男性的のイメージが湧きやすいのかな、なんて思ったり。

 

どっちの方が、なんて言いません。どっちも本当に良い歌声、良い感情なので。

 

(余談)

suisさんの方が男性的となると、その男性はすなわちエイミーということになるので、単純に対比するとエルマが歌う「だから僕は音楽を辞めた」は林さんのソレ?と考えたこともあるのですが、エルマはエイミーに影響を受けた上で音楽をしているので、そうした感情の動きもエイミーを模倣しているんじゃないかと考えたり。

 

 

おしまい

ちょろちょろと書いてきました。

ヨルシカを知らないうちにはやまるの歌ってみたを聴いていた頃も良い曲だな~なんて思ってて、それがヨルシカを好きになって、だから僕は音楽を辞めたの物語を深く知って、そうして歌ってみたに戻ってきて、好きな歌声と好きな歌声の聴き比べをして、こんな風に感じた!を紐解きできて楽しかったです。

 

全て主観なので、違う風に聴こえる人も当然いるだろうし、ここはこういう風に聴こえるなんてのがあったら教えてほしいです。切に。

 

同じ歌でこんなに聴こえ方が違く聴こえるとは、はやまるもsuisさんも本当に凄い表現力を持っている方だなとまた改めて思わされました。

皆さんも良かったら林鼓子さんとヨルシカをよろしくお願いします。

 

(余談)

ぶっちゃけ、はやまるにヨルシカの曲は合わないと思ったりします。

 

 

宣伝

林鼓子さん~

舞台にアイドルにバンドに色々やってます、Xのアカウント(https://twitter.com/cocohayashi515)を是非に。

そんな中で今回ピックアップした「歌」で言いますと、6月15日に彼女のバースデーライブ『Coco Hayashi Birthday Live 2024〜I’m here.〜 』が開催されます。

会場は横浜YTJホール。チケットは残念ながら予定数終了ですが、公式リセールが設定されています。チケットぴあ(https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventCd=2409940)からご確認ください。

 

~ヨルシカ~

新曲「ルバート」が5月29日にデジタルシングルでリリースされます。是非。

 

今回取り上げた楽曲は「だから僕は音楽を辞めた」ですが、それが収録されたアルバム「だから僕は音楽を辞めた」を聴くと更にエイミーへの解像度が増すかも。聴き終わったらそのままアルバム「エルマ」を聴いてください。続き物のアルバムです。

 

 

オマケ

www.youtube.com

n-buna弾き語り版

 

ギター1本の弾き語りで歌っているので小さな部屋での独白感が非常に強いです。映画のワンシーンかと思うレベル。

表すならもう、「n-bunaの歌う「だから僕は音楽を辞めた」」としか言えない…気がする。